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⑩ いいところを見る

Photo: Lake Malawi(駐日マラウィ大使館HPより)
2017年3月24日
ビジネスを始めるとき、ふつうはまず「自分の強みは何か」を考えます。自分が人より得意なこと、上手くできること、それを活かしてお金をもらうのがビジネスの基本です。
手先が器用なひとはそれがいかせる仕事、体力自慢なひとは外の仕事。力持ちだけど不器用なひとに針仕事をしてもらうのは効率が悪いし、本人も楽しくないですからね。
 
支援ビジネスが上手くいかないのは、「かれらが苦手なことで、自分たちが得意なことを教えてやろう」という親切心から始まっているからかもしれません。管理とか、効率とか。
2017年3月14日(火)、テレビ朝日系列で放送された「世界の村で発見! こんなところに日本人」という番組で、マラウイがアフリカ最貧国として取り上げられていて、マラウイに関心のある日本人の間で(レアですが)話題になりました。
現地で村人の生活向上に奮闘するJICA青年海外協力隊員の女性を取材して、支援の問題点などにも触れられている内容でした。番組を盛り上げるため、わざわざ大変な思いをして到着するという演出はともかく、わたしはなかなか面白いと思いました。
ところが、マラウイ人留学生のFredは、ちょっと憤慨していました。
 
マラウイにもいいところがたくさんあるのに、なぜそこを見ようとしないのか。
 
わざわざ悪路を走らなくても新しいハイウェイがあるし、ボイラーが壊れたホテルに泊まらなくてもきれいなホテルがいくらでもあるのに、と。
Fredは昨秋から日本の国立大学に留学中の大学院生。SNSでつながることができました。将来は自分でビジネスをやりたいと思っているイマドキの若者です。
そして番組では、教えられたことをやろうとしないのは、かれらが保守的でなかなか新しいものを受け入れず、自主的に向上しようとする意識が少ないからだと紹介されていました。
これが一般的な援助の論調なのかもしれませんね。本来のんびりしているかれらに、経済のことや効率性などをがんばって教えるのが援助のミッション。人類発祥の地で、長年にわたって穏やかに暮らしてきたかれらのいいところを見つけようとか、なにかを学ぼうという姿勢はあまりないように感じられます。
これはちょっと日本の "国際化" と似ているかもしれません。"世界に通用する人材" って、英語ができて、リーダーシップがあって、ガンガン主張できる人のことだと認識されているフシがありますが、本来の国際化の意味は異文化を尊重しあうこと。そういうひとはそれでいいし、そうじゃないひとはそうじゃなくてもいいよね、と認め合うことだと思います。
 
みんなが同じだったら気持ち悪いし、危険なことです。日本人だからこそ果たせる役割は、「もの静かだけど真面目で勤勉で、確かな仕事をする信用できるヤツ」、なんじゃないでしょうか。そうしたプライドと信念があれば、どこへ行っても尊敬されるはずです。
 
マラウイはこれまで紛争に巻き込まれたことがなく、"アフリカのスイス" と呼ばれています。それは、とくに目を引くような資源がないからだとも言われますが、争い事を好まないかれらの生き方や考え方に、これからの世界が目指すべき重要な手がかりがあるのかもしれません。
 
分単位で時間を守れとか、角と角をきちんと揃えて、などと言うよりもね。みんなが自分らしく、もともと持っている良いところや得意なことを伸ばしていけば、いろいろなことがもっと上手くまわっていくんじゃないかと思っています。
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