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⑪ 生命の樹 バオバブ

Photo by Jane Meja at Monky Bay, Malawi
2017年5月1日
先ごろまで、アフリカのワイルドフラワーをドライにして輸入することを考えていました。
 
植物を輸入する際に植物検疫が必要なことは知っていましたが、調べてみると、手続きは想像以上に煩雑です。輸出国側の政府機関による証明書が必要なものもあり、再検査で足止めとなるとその間の倉庫保管料も追徴されるなど、なかなかハードルが高そうです。
 
そこで、まず現地サポーターに、送ってくれた写真の花の種類を聞くと、その辺の花にいちいち名前などない、という返答。
 
ものの名前というのは文化です。
 
四季があり稲作をしていた日本では、同じ "雨" でも、季節や降り方によってさまざまな呼び名があります。また養羊をなりわいとする民族では、雄(去勢してるか、してないか)、雌、幼児、若い、大人、などそれぞれに特定の名称があります。
ですから、マラウイでは花はたくさん咲いているけれど、日々の暮らしのなかで、ひとびとの心に密着するものとして関心は持たれてこなかったということですね。
 
じゃあ、かれらの関心事はなんだろう、マラウイならではのものはなんだろう、高い輸送費をかけて遠くから運んで、日本で売る価値のあるものはなんだろうと、聞いたり考えたりした結果、
大地の花プロジェクトの事業をマラウイからのバオバブパウダーの輸入・販売とすることに決めました。バオバブフルーツを粉末に加工したものを食用に輸入するのです。
・マラウイにはバオバブの木がたくさん自生している
・バオバブフルーツはたくさん実るので価格が安い
・自然に落ちた実を拾うだけなので環境にやさしい
・もともと乾燥しているので保存がきく
・非加熱でも粉末に加工できる
・抗酸化力が高く、美容と健康に良い
 
といった理由からです。
バオバブは分布地域によって品種が異なり、中央アフリカに1種類、マダガスカル島に6~8種類、オーストラリアに1~2種類が自生しています(パンヤ科ともアオイ科ともいわれており、分類の仕方にも諸説あるようです)。
 
平均樹齢は300~500年ともいわれ、とても生命力が強く、アフリカの生命の木(Africa's life of tree)と呼ばれています。バオバブには年輪がないので放射性炭素年代測定法(C14)で推定したもので、樹齢6000年の樹が南アにあるそうです。
「むかしからバオバブジュースはみんな飲んでるよ」と現地サポーターから聞いたとき、わたしはヤシの実のように果実の中にジュースが入っているのかと思ったのですが、中は思ったより乾燥していて、それを粉にしたものを水で溶いて飲むんだそうです。
アフリカの人たちのためにあるものを、わたしたちが横取りしてしまうことになるのではないかとも考えましたが、現状では、バオバブの木はかれらにとって現金収入をもたらすものではなく、開発のためにじゃまだとか、建築材にするなどの理由で伐採されることも多いのだそうです。
果実が実るまでに何十年もかかるという貴重な資源ですから、これがお金になることがわかれば保護にもつながるのでないかと思います。
有名なマダガスカル島のバオバブ街道には高さ30mにもなる円柱状のものが林立していますが、アフリカバオバブは幹が太く、大きく枝を広げるタイプ(学名Adansonia digitata)。
サン=テグジュペリの『星の王子さま』にでてくるのは、樹形からすると、アフリカバオバブではないでしょうか。お話の中では厄介者扱いでしたけれどね。
 
わたしはずっと架空の植物だと思っていました。バオバブが実在すると知ったのはずいぶん大人になってからです。
南アとマラウイのバオバブを原料として、すでに商品化されているものをアメリカの健康食品通販サイトで買ってみました。
 
欧米ではスーパーフードとしてモデルなどの間でも知られているようです。
見た目はきなこのような感じですが、爽やかな酸味があります。オレンジジュースに入れると、ちょっととろみがでてネクターのようになりとてもおいしいです。
​さあ、今後の課題は輸送です。
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